昨日の飲み会で酔いつぶれた住人を起こさないようにコーヒーとバナナだけの朝食をとる。サンクリストバルにいるのが最後となる日であったため、チャムラに行くことを決めていた。朝食をとっていると、ジャーナリストをしている息子が仕事に出かけるために、朝食をとりに来た。彼も、チャムラに行くという。
彼曰く、チャムラの前村長が横領をして、横領が発覚したために住民が怒り、暴徒に近い状態に陥っている。住民の手で、前村長は捕まえられ、牢獄にぶち込まれているのだという。それでも怒りの収まらない住民が、その家族を捕らえようとしていて、もう5名がつかまっているという。チャムラを取材し、ラ・ホルナーダに記事を売ることが今の彼の仕事らしい。
先に息子が発ち、私はゆっくりとバスに乗ってチャムラまで出かけることにした。チャムラの教会をスケッチブックに写しながら、住民たちと話をしたり、アル中に絡まれたり、子どもに絵をかいてもらったりした。
2時間ばかり教会の前に座っていると、たびたび住民たちの集会や抗議活動が起こり、最終的には昼過ぎに横領を働いた村長の兄弟が捕まえられるにいたった。激しくいかった住民たちに「危険」な印象を受けたため、絵のかきあがりとともにチャムラを発ちことに決めた。立ち去るときには大家の息子の姿が見えなかったので、一人でバスを捕まえて帰ることにした。バス停に着くと、後ろから私の姿を追いかけて息子が走りより、一緒に帰ることを提案してくれた。メキシコ人、現地人である彼からして、かなりの危険を感じていたのであろう。