トルストイ、2004「人はなぜ生きるのか」GAKKEN
どうしてこの本を手に取ろうと思ったのかがわからない。だけど、貧しい靴職人が手元の金と貸しを取り戻して毛皮のかっぱを買いに行くのに失敗したこの話が、どうにも気になった。ミハエルの教訓や話の筋にはほとんど興味をもてなかったが、セミョーンの行動の仕方や言動にとても親近感がもてた。
路上がそうするように、セミョーンもそうしていたからだろう。
貧者にとって、高価な毛皮よりも、手に取りやすいヴォッカがいかに暖かく、満足なものか・・・そのためにいさかいが絶えずおころうとも。
端的に路上を、貧者を示している冒頭部分がすばらしい。