背伸びして、背伸びして、大人になろう。
夫が空気を読めないのは、今に始まったことではない。
お腹をすかせる娘を横目に、「わからない」「気付かなかった」という本人の言い訳を信じるなら(だったら、警察は無用の長物になるけどねwww)、そういう理由で食事を自分だけとって満足できる彼が、私の心情に気を配れるはずがない。腹を立てても、仕方がない。
「わからない」「気付かなかった」という本人の言い訳を信じるなら、病気で苦しんでいる娘を放置して、TVを見て楽しんでいることができる彼に私の焦燥感や娘と研究とのあいだで押しつぶされそうになっている心などわかるはずがない。
「わからない」「気付かなかった」という本人の言い訳を信じるなら、妊娠中に喘息の発作で倒れた私の横でお笑い番組を見てけらけら笑っていた彼が、昼夜問わない娘の看病に疲れた私の身体が悲鳴を上げていることんなど想像が出来ようはずもない。
背伸びして、深呼吸して、空を向いて、雨に打たれて、白い息を吐こう。
悲しみは、冷たさにしんびれた身体の奥底へと押し込まれる。
悔しさは、頬を伝う雨を暖める。
私は、大事な時間を過ごしている。娘とともに歩める時間を過ごしている。
ほんのひと時、路上の子ども達と離れるだけだ。
そのひと時は、とても長く、とても苦しい。心を割かれる。けれど、割いた心のひとつをとりに、いつかまた、路上に戻る。路上を歩む、その日まで、私は、私と私の娘のために、素敵な時間を大事にすごそう。
背伸びして、思いっきり背伸びして、大人になった振りをして。