マーク・トゥウェインの『ハックルベリー・フィン』を読んでいる。ヘミングウェイが絶賛したことでも知られているが、アメリカ合衆国におけるストリート・チルドレンの歴史を考えるときにとても重要な布石となると思っていたので、読むことにしたのだ。
ハック・フィンがジムを助ける際に、"they're after us!"と言ったことは実に興味深い。路上における共同性の構築が、いかになされていくのかを垣間見ることができる。ハックとジムにとっていかだがHomeであるという感覚をもって、互いに欠かすことのできない存在と感じながら生活していく過程は、路上が住処となる過程を見事に表現している。
そして、山場であるペテン師がジムを農家に売りさばくところでは、ストリート・チルドレンが人にどう見られるかと、ストリート・チルドレンとして生きる自身にとっての意味との間で揺れ動く心情と同じ景色をハックのジムとジムを取り巻く社会に対する視線を通して体感することができる。